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第十六話 西の葬送門

last update publish date: 2026-08-24 09:37:24

西の葬送門。

 その名を聞いた瞬間、東門の空気が変わった。

 北の薬材門でもなく、東門でもなく、西。

 死者を外へ出すための門。

 後宮の女たちが、最後に名を失う場所。

 春燕の名で包まれた棺が、そこから出された。

 玉蘭妃様は箱の中で薄く笑った。

「急いだ方がいいわ。景蘭は、死者の扱いだけは丁寧なの。綺麗に燃やして、灰にして、何も残さない」

「黙ってください」

 私が言うと、玉蘭妃様は少し目を細めた。

「あら、助けた相手に冷たいのね」

「助けたのではありません。止めただけです」

「そうだったわね。あなたは私を綺麗に死なせてくれない子だった」

 箱から引き出された玉蘭妃様は、まだ両手を縛られていた。

 白い衣は乱れ、髪も崩れている。けれど、それでも人目を奪うほど美しい。こういう
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